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ジャパンと呼ばれる漆・蒔絵の歴史

月光の譜
漆の魅力を表現する上で、例えば黒い色を思い浮かべたとします。世の中に黒とよばれる色が沢山ある中で漆黒という表現がありますね。漆の黒。まさに漆の為に用意された色です。これ程奥深い黒はなかなか見られないのではないでしょうか。この漆黒の色を出す為に数多くの細かい作業工程がありますが、表面の見える所だけに留まらず、隠れたところにしっかりとした仕事を残すのが漆の良さであり、また日本文化の良さにも繋がります。



世界の歴史において中国をはじめとする東洋のほとんどの国で漆器が制作されてきたにも関わらず、世界に知られているのは「ジャパン」、日本の漆器です。世界の評価からも、漆は日本を代表する工芸といえます。

また、日本の漆芸技法で特筆せねばいけないのが蒔絵です。

蒔絵とは漆を塗った光沢のある器体に漆で絵を描き、漆の接着力を利用して金粉、銀粉、その他の金属粉等を蒔いて付着させてから研ぎ出す等、様々な方法で装飾する技法で、奈良時代には既に完成され、平安時代以降は時代によって技法の形を変えながら現在まで伝わってきた日本だけの伝統工芸です。



実は「ジャパン」とはアートにおいてまさに蒔絵のことを指しています。

しかし、芸術文化と実生活の密接した日本の欠点といいますか、特に工芸においては実用性のあるものが多い為かその美しさや価値といったものを当たり前のような感覚で受け流しているふしがあります。そのようなわけで残念ながら日本人の世界からみた「ジャパン」の認識は低いです。

事実、恥ずかしながら私自身もこの世界に入るまで知りませんでした。自国で文化を見つめるというのはなかなか難しいようです。



それでも一旦興味をもってその道に踏み込むと、魅せられるのが日本文化の醍醐味で、私も蒔絵をしていると、先人はこの蒔絵という技法を本当によく考え付いたものだとつくづく感心する次第です。

自然の木の樹液である漆の特製を活かし、金属さえも粉にして蒔きぼかし、形にする。そのことに最初に着目した人の喜びは相当なものだったのでしょう。

私が近頃制作している時に常に感じることは、長い蒔絵の歴史を通じて培い伝えてきた先人の恩恵の中に自分がいるということです。この蒔絵の伝統のおかげで、技術だけで終わらない、先人の経験や思想までもを感じ取ることができ、更に私の精神的な支えとなっているような気がします。



そして、更なる向上を目指すべく私は作品のイメージが浮かんだ時はすぐに形にするように心がけています。そのタイミングを逃すと作りたくなくなることもあり、そうなると作品を置き忘れてきたような気がして寂しくなります。私は制作を通じて常に新しい自分を発見する楽しみを感じていたいと思っています。そしてこの漆の魅力を一層自国日本を含めた世界中の人々や後世の人々に伝えるような作品を創りたいと願っております。



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2009.04.25 | | コラム

伝統という力

創作があって時代を為す

日本人は頭上に舞い降りてきた光を、敏感に感じ取り発想として作品に取り込んできた。


日本の美しく素朴な自然は、その助けとなり、創作になくてはならない存在となった。


蒔絵においても、美しい野花などをモチーフに表現することが多い。のびのびとした線が蒔絵の独特な上品さを一層引き立てる。



ただ技法でいうと平面の漆はマチエールに柔軟性を持たせにくく、

変化に乏しい一本調子の画面になりやすい。

それをいかに別の方法でうまく表現するかが創作者の技量にかかっている。



やはりそれには先人の力を必要とする。伝統という力だ。権威的な力でなく、創造に創造、技術に技術を重ねた歴史がこちらの精神を奮い立たせてくれるような、力である。



いかなる芸術においても

伝統なくして次代の芸術は誕生し得ない。


悠久

2009.04.23 | | トラックバック(0) | コラム

京都の生活と芸術 創造する伝統

京都で生まれ京都で育ち、そして漆の道に入って30年以上経ちましたが

創作に耽っていると常に伝統の重みというものを強く感じます



伝統と伝承は全く異なるものでして

伝承は形をそのまま伝えても、伝統は時代によって形を変えながらも

その時代に合うように大切なものを受け継ぎ、また次の世代へと繋げるものだと思います



その意味においても、京都は長い長い歴史の中で先人によって数多なる名品が作り続けられております

その空間で今現在、私めも京都文化のバックボーンなるものを感じながら創作に明け暮れておりますが、新しい何かを創ろうと思い立った時でも

京都には周りに多種多様の技術があり、材料や道具においても、たがいはすぐに揃えることができ

ます

そのため我々創作者にとって京都とはまさに伝統と芸術の宝なのです





暮らしの変化が春風のように新しく吹く「今」という時代を意識して制作にあたりますが

ただ新しければ良いのでしょうか

いいえ

長い歴史の中で培い育ててきた苗を絶やさぬよう、「今」を生きる者が潤すことの責任を自覚して初めて新しい花が咲くのです



そして伝統の価値といったものの意味を為すのです



日展 初


写真は日展に初入選した20歳の時のものです

2009.04.20 | | トラックバック(0) | コラム

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PROFILE

村田 好謙

Author:村田 好謙
村田好謙経歴

1956   京都市に生まれる
1975   京都市立日吉ヶ丘高等学校美術工芸課程漆芸科卒業
       漆工奨学賞受賞
       服部峻昇先生に師事
1976   日展入選 以降31回入選
1977   日本画専門学校 4年間在籍
1984   日本新工芸展 日本新工芸賞受賞
1985   日本新工芸展 東京都知事賞受賞 日本新工芸会員
1986   全関西展 関展賞1席受賞 以降関展招待・日工会結成に参加
1988   京都府工芸美術作家協会展 京都府知事賞受賞
1990   シカゴアートフェアー招待(ミリケンギャラリー)
       ’90美術選抜展
1991   朝日現代クラフト展招待
       京展 市長賞 ’93同賞 以降京展委嘱
1993   日工会展 企画特別賞受賞
1996   個展(名古屋名鉄百貨店’00同展・大阪山木美術)
       個展アムステルダム(ギヤラリーブロマンス)
1997   個展マーストリヒト(スタジオマーストリヒト)
       シアトルアートフェアー招待(ブライアンギャラリー)
       京展審査員・全関西展審査員
1998   日工会展審査員
1999   個展(京都高島屋美術画廊’02同展)
2000   京都市芸術新人賞受賞
2001   京都の工芸〔1945~2000〕招待(京都・東京国立近代美術館)
       京都の工芸inエディンバラ展招待(エディンバラ)
2002   京都発 漆のメッセージ12(京都文化博物館)
2003   個展シアトル(ブライアンギャラリー)
2005   日本・ノルウェー、交流100周年記念5人展(オスロ)
2007   キアフアートフェアー招待(ソウル、アートンアートギャラリー)
個展(大阪大丸美術画廊)
日展100年記念展特選受賞
2008   日本・フランス交流150周年記念 工芸京都展(パリ)
  日蓮総本山身延山久遠寺五重塔内壁画制作
2009   日展特選受賞 朝日現代クラフト展、京展、全関西展 審査員

2011   遭遇領域野外造形展審査員 日工会展内閣総理大臣賞受賞


現在  好謙漆工房主催、日展委嘱、日工会監事、京都作家協会理事、京都国際交総合流展副委員長、創工会12年度会長、京都精華大学非常勤講師       

JAPANNING CAREER
1956 Born in Kyoto
1976 First accepted for the Nitten Exhibition
(31 times since then)
1985 Awarded Tokyo Prefectural Governor's Prize at the Japan New Craft Artists Exhibition, nominated for membership of Japan New Craft Artists Union
1986 Joined in the foundation of NIKKO-KAI
Awarded Grand Prix at the All-Kansai Exhibition (Requested-to-exhibit Prize and invited since then)
1988 Awarded Kyoto Prefectural Governor's Prize at the Kyoto Art and Craft Artists Association Exhibition
1990 Invited to Chicago Art Fair [Milliken Gallery]
1991 Invited to the Asahi Contemporary Craft Exhibition
Awarded the Mayor's Prize at the Kyoto Art Exhibition (also in '93)
1996 One-Person Exhibition [Gallery Vromans, Holland]
1997 One-Person Exhibition [Studio Maastricht, Holland]
Invited to Seattle Art Fair [Bryan Gallery, U.S.A.]

2001 Crafts in Kyoto [1945-2000] [The National Museum of Modern Art, Kyoto and Tokyo]
2002 12 Messages of Urushi (Japanese Lacquer Arts) from Kyoto [The Museum of Kyoto]
2003 One-Person Exhibition [Bryan Gallery, U.S.A.]
2005 Group Exhibition [The Yellow House, Norway]
2007 Membership : Kyoto Art and Craft Artists Association

Non-Regular Member of NITTEN
Trustee of NIKKO-KAI

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